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難病・脊髄(せきずい)小脳変性症を患う香取市小見の遠藤恭子さん(58)が所属する女性8人の和太鼓チーム「YAMADA星太鼓」が14日、設立5周年記念公演を市内で開く。遠藤さんは「支えてくれた仲間や家族への感謝の気持ちを大好きな太鼓をたたくことで表現したい」と張り切っている。

 遠藤さんが体に変調を感じたのは2006年頃からだった。思うように走れない。ろれつが回らない。階段の上り下りが不自由になった。07年6月に検査を受けたところ、約2か月後に医師から脊髄小脳変性症と告げられた。「自分の家族でなくてよかった。自分なら、なんとか耐えられると思いました」

 それから数日後、設立当初から加わっている太鼓チームの仲間に伝えた。「泣きながら話を聞いてくれ、正面から私を受け入れてくれた」と振り返る。

 小学校の用務員の仕事は休職しているが、太鼓のおかげで「病気になっても、自分の居場所がある」という。

 遠藤さんのひたむきな姿にふれ、星太鼓代表の高木美知子さん(60)は、「芯が強いんでしょうね。自分より年下だけど、年上のよう」と感心する。メンバーでもある遠藤さんの次女、真美子さん(29)は「お母さんがやりたいなら」と、練習場まで車で送迎しながら、ともに練習を重ねている。

 そうした遠藤さんを支援しようと、星太鼓を指導するシンセサイザー奏者binshoさん(45)(本名・松井敏昭)らは、「5周年公演は音楽だけではなく、福祉も取り入れよう」と、考えた。

 公演は3部構成。1部は指導を受けた長野県の小出太鼓、2部は県立佐原病院神経内科・山崎正子診療部長や、全国脊髄小脳変性症友の会の斎藤亮二会長らを交えたシンポジウムで難病支援などを考える。3部が星太鼓の演奏で、予定する8演目のうち、遠藤さんは2~3演目に参加する。遠藤さんの著書「もっと太鼓を叩(たた)きたい」も販売し、千葉県での脊髄小脳変性症の患者の会発足を呼びかける。

 【脊髄小脳変性症】小脳や脊髄などが萎縮(いしゅく)するため、ふらつきや歩行困難、言語の障害が表れる。県内には906人の患者(2007年度末)がいる。実在の患者の日記を基にした「1リットルの涙」はテレビドラマになった。
(2009年2月12日 読売新聞)。

​価格1,000円(別途送料)

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